土用干しはいつにしよう? 紫外線と湿度のことを考えてみた

この記事は約8分で読めます。

2019年の土用干し

ツイッターで知ったのですが、7月30日は難(7)が去る(30)ということで、梅干しの日なんだそうですね。平成16年に、和歌山県みやべ町の東農園が定めたのだとか。

季節的にも、7月末~8月は、梅雨が明けて土用干しをするシーズンでもあります。

従来の土用干しに必要なのは、晴天続きの日

昔は「梅雨明け三日」といって、梅雨が明けて三日は天気が安定してお天気が続く… なんて言われていて、土用干しもこの期間に干せばいいみたいな感じでした。

でも、最近では晴れてもなんか薄い雲がかかっていたり、急変して雨が降ったり、落ち着かない印象があります。7月末には台風6号の来襲なんていうのもありましたよね。

上の写真の左側は11時ごろ。右は16時ぐらいの空模様。13時ぐらいから右の写真のような感じになったのですが、今回も朝から薄曇りでスカッとしないお天気でした。朝の時点で右の写真くらい晴れ間があると思い切れるんですけどねー。

土用干しそのものは8月に入ってもできるみたいだけど、あまりずれ込むのも嫌だなと、無理やりお昼過ぎから干してみたのが最初の写真です。

大丈夫かなー、これ(汗)

ということで、ちょっと土用干しについて調べてみることにしました。

土用干しで大切なのは、紫外線(UV-B)らしい

今年の梅干し作りで参考にさせてもらっている「荻窪 鈴木青果店の『梅干しちょっと良い話』」では、土用干しは殺菌効果のある紫外線に当てることが大切と解説されています。

土用干しの季節って、ちょうど紫外線が強くなる時期なんですね。

参考 梅干しの土用干しとは?「生活の知恵」 | 荻窪 鈴木青果店の『梅干しちょっと良い話』

うちのメインブログでUV対策のことを調べた際に、紫外線のことをまとめたことがあるのですが、確かに「UVインデックス」(赤い色の線)は、7月半ばから8月前半までの期間が最大になっています。

紫外線をしっかり利用するなら、この時期がぴったりというわけですね。

紫外線の季節変動

(統計期間:1994~2008年)
(参考)平成26年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告書上の関連記述/気象庁

さらに紫外線による菌類への殺菌効果で見ると、260nm付近で最大になるそうです。

参考 紫外線の殺菌作用と一般的なソーダガラスの透過波長域 | 荻窪 鈴木青果店の『梅干しちょっと良い話』

260nm付近というとUV-Bに含まれる波長になります。UV-Bは日焼けで肌を黒く変化させる紫外線ですね。

UV-Bの波長

土用干しをする際に殺菌することを重視するなら、UV-Bをいかに梅干しにしっかりと当てるかがポイントになるようです。

UV-Bを活用する際の注意

最近は天気予報でも、夏の間は「UVインデックス」が発表されるので、手軽に紫外線の強さを知ることができます。

でも、「梅干しにUV-Bを当てたいな」と思って「UVインデックス」を参考にする場合、少し注意が必要です。

なせかというと、「UVインデックス」は、UV-AとUV-Bが混ざった状態でしかわからないから。

混ざって区別がつかなくても、UV-AとUV-Bは少しずつ違う性質があって、UV-Aはガラスや雲も通過しますが、UV-Bはそうしたものに遮られてしまうのです。

UVインデックスのグラフで、紫外線の「全天日射量」が4月~5月にも大きな山があったのに、UVインデックスは低めの値だったのも、この時期、まだ量を保っているオゾン層にUV-Bを中心とした紫外線の一部が遮られてしまっているからなんですね。

UVインデックスの割合で見ると、曇りでも紫外線は約60%あるということがわかりますが、UV-Bは雲に遮られてしまうので、雲が多くなるほど地上に到達しているのはUV-Aがほとんどという可能性もあるわけです。

天気毎のUVインデックスの割合
快晴時 100%
晴れ 約90%
曇り 約60%
約30%

ただ、殺菌する力は「殺菌線照度(W/m2)×照射時間(秒)」で決まるので、照射時間が2倍になれば、殺菌線照度が2分の1でも同じ効果が得られるみたいです。

※実際は、菌の種類、温度、湿度などいろいろな条件で変わってきます

「今日は薄曇りだったわ~」とか、「8月半ばを過ぎちゃった!」とか、UV-Bの量が少ない条件であっても、その分、長く日に当てるようにすれば、快晴の天日干しに近づけることができるわけですね。

ただし、温度、水分、栄養などが十分にある環境だと、大腸菌などは20分に1回は分裂してしまうので、あまり長い時間をかけすぎると効率は悪くなってしまうみたいですが。

では、紫外線の殺菌効果を十分に利用するにはどれくらいの時間が必要になるんでしょう?

これは「株式会社エフシージー総合研究所 比べる×調べる」が参考になりました。

参考 (41)天日干しの殺菌効果 | 株式会社エフシージー総合研究所

記事の中で紹介されている実験によると、晴天の日に、黄色ブドウ球菌を含む水を染み込ませた綿布を天日干ししたところ、1時間で「0」になったそう。

梅干しの場合も、晴れか快晴時であれば、表裏それぞれ1時間くらいかけて2時間を目安に日に当てることができればOKかな?

1日のうちで、紫外線が強くなる時間帯は正午を挟む午前10時~午後2時ごろ(夏のこの時間帯は、1日のおよそ60%の紫外線を浴びると言われています)

この時間帯で晴天に恵まれれば、殺菌目的として最低でも2時間くらい、薄曇り程度であれば雲の状態によってもう少し長めに日に当てるようにする。ただ、太陽の光に当てるのは「梅干しの色をよくする」という目的もあるので、梅の状態をよくするために、さらにプラスαの時間をかけて土用干しをするという感じになるでしょうか。

それから、こんなふうに土用干しのことを調べていると、ちょっと気になる情報を見つけてしまいました。農園によっては「日差しがきつすぎて綺麗に干し上がらない」として、あえて8~10月に天日干しをする所もあるみたいです。

お天気が安定しない、もしくは日差しの強さが気になるといった場合は、思い切って時期を遅らせて、日に当てる時間を長めにとるといいかもしれません。

参考 梅の天日干し | 梅の一年

細菌の繁殖のことを考えるなら、水分量を減らす方法もあり

ここまでは太陽の殺菌効果を重視して見てきましたが、保存のために細菌の繁殖を抑えるのなら、「菌を増やさない環境を作る」こともポイントになりそうです。

メインブログで食中毒のことを調べた際に知ったのですが、食中毒を予防するうえで大切なのは、「菌をつけない」、「菌を増やさない」ことが重要になります。

「菌をつけない」ことがUV-Bを利用した殺菌だとすると、「菌を増やさない」ために梅干しの水分量を少なくすることも有効ですよね。コープさんで時々注文するコモパンが長持ちするのも、水分量が少ないからです。

特に梅干しは塩漬けなので、水分量が減れば塩分の濃度が高くなって「細菌を増やさない環境」を作ることができます。

水分量を減らすだけなら、太陽の光がガンガンに当たっていなくても空気の流れがあればOK。紫外線で殺菌することを目指すより少しハードルが低くなります。

「8~10月に天日干しをする」と紹介されていた農園によると、「梅の重さが、干す前の65パーセント前後」になるのが目安になるそうです。

土用干し1日目で、水分量はどれぐらい減ったかな?

というわけで、今回は干す前と干した後の梅の重さを実際に計ってみることにしました。

干す前 … 1740g
干した後 … 1680g

土用干しした時間 … 12時から17時30分ごろまで

土用干しで減った量は…

1740g-1680g=60g

あれ? あまり減らないものなんですね。干す時間が遅かったからかな(汗)

気象庁のホームページで調べてみると、この日の神戸の最高気温は33.1度(13:50)、最大風速は6.3m/s(16:00)、湿度は77%(平均)ということで、温度も湿度も高い一日だったみたいです。60gしか減ってないのは、そのせいでしょうか。

参考 過去の気象データ検索 | 国土交通省 気象庁

この調子で3日くらいかけて水分が減ったとしても…

60g×3=180g

量る前の重さから見ると…

1740g×x=180g
x=180g÷1740g=10.3×100≒10%

なんと。今の高温多湿の状態では、3日かけても10%程度しか減らないんですね。

まあ、うちはもともと20%の塩分濃度で漬けているので、水分量もそんなに気にしなくていいかもしれないけれど、でもせっかく干すんだから、もう少し減ってもいいよね?

ということで、今年は思い切って、土用干しをもう少し先延ばししてみようかなと思案中。目標は、湿度がもう少し下がって、お天気のいい日!

…いつぐらいになるかなぁ(汗)

天日干しのコツ 2019年版まとめ

土用干し中の梅干しの影

・太陽光の殺菌力を重視するなら、晴天で紫外線の多い時間帯に2時間くらいは日に当てる

→紫外線の多い時間帯は正午を挟んだ午前10時~午後2時の間
→期間は紫外線の多い7月半ばから8月半ばを目安にするのがよいらしい
→薄曇りだったり、遅い時期になってしまってUV-Bが少なそうなときは長めに日に当てるとよさそう

土用干し中の梅酢

・水分量を減らして、塩分濃度を高くするのも一案

→水分量を減らすのと紫外線を当てることを合せ技にすれば、土用干しのハードルも少し低くなりそう
→空気の流れがあるところ(風通しのいい場所)を選ぶ
→梅干しの重さでいうと、干す前の65%くらいを目指すのがよいらしい

タイトルとURLをコピーしました